要介護の高齢者が抱く死生観と家族のサポートについて

要介護の高齢者が抱く死生観と家族のサポートについて

要介護の高齢者が抱く死生観と家族のサポートについて
高齢者は自身の人生や死生観について考える機会が多くなりますが、病気などの理由で要介護の状態になっている高齢者はその傾向が顕著です。他者の手助けが無いと生活が困難な状況になったことで人生や生き方に関する考え方が変わるのが理由ですが、ネガティブな方向に進みやすいので注意する必要があります。高齢者の死生観について学び、家族によるサポートのあり方を考えましょう。

この記事の目次

高齢者が抱く死生観の特徴とサポートする家族の心得

高齢者の死生観は頭ごなしに否定してはいけない

高齢者の死生観は人生のまとめの一つ

高齢者が抱く死生観の特徴とサポートする家族の心得

死生観は誰でも抱く考えの一つですが、特に高齢者は加齢や病気によって体が弱い、死というものを身近なものとして捉える傾向があります。そのため、今までの人生を振り返り、今後の生き方や死ぬまでの身の振り方などを考えるようになります。古い世代の高齢者は日本に古くから根付く、神道や仏教の教えに基づいた死生観を抱くのが一般的です。人は死ねばみんな仏になる、魂は様々な形に代わって輪廻するといった宗教的な価値観を下地にした死生観を共通認識として抱いていたのが特徴です。そのため、死ぬ間際になっても本人はもとより、親族の間でも死生観を共有出来るので特に大きな混乱に陥ることが無かったとされています。

しかし、現在は価値観の多様化によって死生観もひとりひとり大きく異なります。特に現世利益を第一に考える価値観を持つ人の死生観は死んだ後は一切が無になるという認識が主なことから、親族との間にギャップが生じるのが特徴です。また、未練がある人や毎日を楽しく暮らしている人ほど死生観が悲観的なものになりやすい傾向があるので、親族による心のケアが重要です。逆に死ぬことに対して楽観的な考えを持っている人は生きることに対して諦観している可能性があります。一見して落ち着いているように思えますが、実際には生きることに対して希望や目的を持っておらず、何事にも無関心で意欲が持てない状態なので精神的にはかなり落ち込んでいる状態です。高齢者自身が無気力になるとサポートを行う親族もネガティブな心情に陥りやすいので注意する必要があります。

要介護の高齢者は自身の体が弱っていることから死を身近に感じやすく、ネガティブな言動を取りがちになります。サポートを行う親族は頻繁に暗い話を聞かされる形になるので不快感が募り、高齢者に対して辛く接してしまうことも少なくありません。しかし、不満や怒りをぶつけると関係が悪くなり、後の介護に悪い影響が及んでしまいます。ある程度は高齢者ならではのわがままと割り切り、聞き流す姿勢を持つことも介護を行う親族に求められる姿勢です。その一方で暴力や罵声を伴う言動を頻繁に繰り返している場合は介護の専門家に相談するなど、然るべき対処を取ることが大切です。

高齢者の死生観は頭ごなしに否定してはいけない

死生観は死ぬことへの恐怖心を和らげるために抱く、一種の自己満足な考え方と見なす傾向があります。人は未知の事柄に対して漠然とした不安を抱く傾向がありますが、その中でも死に対しては誰でも必ず経験することでありながら詳細がわからないのが不安の増大に繋がっています。特に高齢者は加齢によって自身の命が尽きる時が近づいているのを嫌でも認識させられていることから、心の安定を求めるために宗教的な死生観に縋ることも少なくありません。傍目には非現実的で馬鹿々々しいように思えますが、実際に死に恐怖を抱いている高齢者にとっては重大な問題なので頭ごなしに否定するのは良くありません。死生観を持つことで心が落ち着き、親族に対しても好意的に接することが出来るようになるので暖かく見守るのが正しい姿勢になります。

死生観は人によって内容がそれぞれ異なりますが、比較して優劣を決めるものでは無いことを注意する必要があります。高齢者が多く入居する介護施設では死生観の違いから入居者同士が不仲になるケースもあるため、安易に自身の死生観を表に出さないのが人間関係を損なわないための工夫です。高齢者を介護する親族も死生観は高齢者自身のプライベートな認識の一つと捉え、深く追求しないように心がけるのが優しさと言えます。しかし、他者を貶めたり自身の優位性を強調するような考えは他者との衝突を招く要因になることから、さりげなく矯正を施すのが社会的なマナーになります。頭ごなしに否定をするのは避け、様々な価値観や考え方があることを示しながら少しずつ問題点を解消するのがポイントです。

死は誰にでも訪れるものなので、死生観を持つのは間違いではありません。どのような考えであっても基本的には個人の自由なので尊重されるべきです。高齢者の親族は本人の意思を尊重し、周囲との軋轢を避けながら暖かく見守るように工夫することが重要になります。

高齢者の死生観は人生のまとめの一つ

高齢者は自身の経験や知識に基づいて構築した死生観を持つのが普通です。宗教的な世界観を下地にした死生観も本人の人生の中で得た知識があってこそのもの。どのような死生観であってもそれが高齢者本人の人生の結果の一つです。そのため、死生観を持つことについては頭ごなしの否定はせず、最大限尊重するのが親族に必要な姿勢です。

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